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■ 「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」
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■ ■ ■■■■ ■ 1999年 日本初・旅館の女将によるメルマガ配信
■ ■ 開始。経営の悩み、お客様への思い、社員や家族
■ ■■■■■ とのかかわり等など。
■ ■ ■ ■ きもちはいつまでも新米であり続けたいと願う、
■ ■■■■■ 宿の女将のメルマガです。
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http://www.monya.co.jp 2015.5.20発行 第352号
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◆ 10年ぶりのリニュアル ◆
私が98年に嫁いでから、一番気になる点は、
紋屋がこの土地に出来た時のまんまのお部屋が残っていることでした。
嫁いでから数年後、ホームページに「お許し下さい」というページをつくり、
古いお部屋があること、
お風呂が広くないこと、
駐車場も狭いことなどをお詫びし告知しました。
それでもお正月などは、
お高いご料金でそのお部屋にお客様がお入りになるため、
いつも心苦しく思ってきました。
そのお部屋は、トイレを無理にあとづけにしたため、
海側の良い場所にトイレがあり、
しかも、お部屋とトイレとのきちんとした壁がなく、
床の間に洋服ダンスがついていて、
居住性的にも見た目の美しさも欠けていました。
そんな部屋でも、喜んでくださるお客様もいらっしゃいましたが、
誰が見ても古い民宿のような部屋。
いつかリニュアルしたいと思いつつ、
出来ずにずっと年月が過ぎて行きました。
昨年10月に大きな台風が2週も続けて襲来し、大きな打撃を受けました。
その打撃は想像以上のものであり、膨大な瓦礫が山積みになり、
私個人はかなり衝撃を受けてしまいました。
現実的にも、甚大な被害すぎて保険会社の査定に手間取り、
今年の3月にやっとお金が降りたくらいです。
そのため年末を前に資金不足で、12月は工事がストップしてしまいました。
はじめはそれこそお正月にはリニュアルオープンの運びのはずでした。
それが、1月過ぎても2月、3月と出来ない。
これはどうなるのかと頭を抱えました。
もちろん、その間壊れた部屋数分の売上はありませんし、
壊れた部屋の荷物が入れてある部屋も使えないため、
大変苦しい経営状況でした。
壊れた当時から、設計士さんの事務所に何度か足を運び、
設計士さんも紋屋にお越しくださいました。
何度も何度も描き直しして頂き、
壁紙や天井、カーペットなど選ぶのも、
何回も打ち合わせしました。
その後も、思わぬところに配管があったり、
思ったよりその場所が狭かったり、
小さなトラブルにあい、そのたびに変更して、
リニュアルというものは想像以上に手間がかかりました。
工事自体も、大工さんがほとんど一人でいらしていたので、
本当に牛歩のあゆみ。
やっとの思いでゴールデンウィークに間に合いましたが、
出来てみないと色々わからない点が有り、
出来上がってから様々な備品揃え、
いろいろ問題が浮き彫りになりました。
私どもはベッドの部屋は、昔々になくしてからずっとなかったので、
シーツの手配やベッドメイキングの講習、
タオルや浴衣の置き場所の決定、部屋の額の選定などなど。
私よりも社長は、さらにさらに細かな打ち合わせが多く、
本当にお疲れ様でした。
台風で壊れてあたふたと片付けたので、
様々な小さい備品が見つからなくなりました。
最初は保管していたつもりでも、何度も荷物の移動をしています。
様々な業者さんが入って、その時においてあったものをどうしたのか、
これもよくあることではないだけに、難しい問題です。
小さな花瓶や部屋に入れている蚊取機とか、
様々な物がなくなってしまいました。
これも反省とともに一つの経験だと感じました。
出来上がってみると、想像以上のテイストに仕上がりました。
これは本当に嬉しい事でした。
ツインルームが2つ、二間続きのスイートルームがひとつ。
細かな点で理想通りにはならない部分もありますが、
10年前に比べたら、ずっと自分の好みが反映された部屋に出来上がりました。
思い入れとしては、落ち着いた色調で寛ぎ感を全面に出したかったことと、
普通のホテルでも味わえない和風旅館ならではの温かさと、
テイストの高さとを取り入れたかったこと。
そして、時々ご要望が出るベッドの部屋を作りたかったことです。
ツインルームは、広さが無いので、作っている工程を見ていた頃は、
これは、想像よりも狭いと感じました。
窮屈な部屋になるのではと、かなり心配しました。
でも結果的には、設計士さんがおっしゃっていたとおりに、
都心のプチホテルよりは広く、何しろ景色がいいので、
とても気持ちいいのです。
ベッドから起きると目線に水平線が見え、
海辺での目覚めを実感して頂けます。
ソファーにかけて一日中ぼーっと行き交う船を眺めていても、
飽きません。
お部屋に流れている空気が、何かとても素敵です。
ライティングもすごく美しくて、昼にはない楽しみができそう。
ホームページに載せたばかりですが、
もっともっと皆様に知っていただきたいお部屋です。
10年前の台風の時は、今から考えれば被害は少なかったです。
そしてその当時は、まだお部屋のリニュアルや、自然災害の後始末には
あまり関わっていなかったので、私はかなり気楽でした。
予算が不足で、やりたかった1階の壊れている家族風呂のリニュアルが
出来なかったことは、ほんとうに残念です。
家族風呂やお手洗いも、いつか直したい。
私たちがいる間は無理かもしれませんが、
自分達の制作結果が形として見られて、すごく嬉しく思っています。
これで、私と同じように足が悪いお客様も、
寝たり起きたりがかなり楽になります。
2階までなら、なんとか階段も上がれると思います。
急な階段を上がることなく、ベッドのお部屋へ行くことが出来れば、
ご年配のお客様の受け入れも、今までよりは心配がなくなります。
やっと新しくなった2階リニュアル客室。
皆様に親しんでいただける愛されるお部屋として、
利用していただきたいです。
ぜひ、ご覧になってくださいませ。
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e-mailエッセー「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」・隔週日曜発行
著 者:高尾葉子 okami@monya.co.jp
発 行 者:高尾憲資 aruji@monya.co.jp
発 行 所:季粋の宿 紋 屋 otazune@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆
家内を車に乗せて、前に遅い車が走っていたりすると、
「抜いちゃえ〜!」「あんな小さい車に負けるな!」とか言って、
家内は盛んにあおる。そのくせ本人は免許を持っていない。
昔、免許取得を勧めたが、自分が運転すると必ず事故を起すと言い、
代わりに、事故を起しかねないような運転を私に強要する(笑)
(by aruji)