季粋の宿 紋屋
 
季粋の宿 紋屋

女将のこだわり・心遣いが感じられる、モダンな和風宿。

2013年6月23日 宿屋の女将のメルマガ 第326号

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     ■       「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」
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  ■ ■■■■■   http://www.monya.co.jp 2013.6.23発行 第326号
                           
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◆ 高級料亭旅館に行ってきました ◆


たまたま、数軒の旅館指定で宿泊招待券が手に入ったので、

神奈川県内にある高級旅館に行ってきました。

何か勉強になるかな?と小さい期待をして出かけました。


東京から、気軽に1時間ほどで着いてしまう立地。

列車からの景色はなかなかすてきでした。

その土地自体は、特別見るものもなく、山も海もそうよい景色でもない。

近くて温泉ということでそれだけで多くの人が集まる。

立地だなあと思います。



泊まった宿は、建てられたころとは経営母体が変わっている、

いわゆるオーナーさんがいない宿です。

建物は、非常に立派に建てられていて、どこの皇室をお迎えするのかしら?

と思うような、立派な広い畳敷きの玄関が印象的でした。

2階がロビーで、そこで宿帳を書いて、部屋担当の係が迎えに来てくれます。

その日は、最上階の部屋へ案内されました。

ここの宿は、迎えから食事だし、布団敷き、おおむね係がやります。

そのような形式も、一昔前の高級旅館を思わせました。



お茶を出していただき、夕朝食ともにお部屋だし。

お部屋だしがお好きな方にはいいのでしょう。

私は朝食時、部屋に入ってこられると、ゆっくり寝ていられません。

布団を直してお化粧してと、

いろいろ気を使って早くから目が覚めて疲れます。

朝食は、レストランがいいなあと思いました。



最上階には大きな展望露天風呂があり、

2階にもゆったりした内風呂があります。お湯はなかなか良いお湯でした。

確かに広くて眺望も広がりがあり、部屋から近かったので、

何回も入りに行きました。

広い露天風呂が紋屋にもあったらいいなあとつくづく思いました。


しかし、オーナーさんがいないことが全体的にひしひしと感じられる

無機質な空間を感じました。アメニティはキチンとそろってはいます。

でも、ただ必要なものがそろっているだけという感じが否めません。


   湯上りドリンクが手作りだとか、

   特別に厳選したお水だとか、

   調度に女性らしさが感じられるとか、何かほしい。

   心を込めて集めてきたとっておきの布がテーブルにかけてあるとか、

   施設の案内に手作り感がある。

   こだわりのここでしか味わえないお酒があるとか、

   それについての館主のこだわりが手書きで書いてあるとか。


そうしたものが基本的に抜け落ちている感じが、

オーナーさんがいないだけに殺風景に感じられました。



夕食は、量的には十分な量があります。

お部屋だしで、1品づつ運ばれてきます。

でも、お献立は関東なのになぜか北海道の○○が多く、なぜ?と思いました。

デザートも北の大地の煌めきという題名。内容は、ごくごく普通の懐石料理。



係がふたりで運んできますが、料理説明が全くありません。

それには驚きました。それで高級旅館なの?と。

お料理をおいしくするのも、係の技量なのに。

ほかの高級旅館は知りませんが、

お料理の説明が全くない宿は珍しいのでは?と思います。

研修でほかの宿にはよくいきます。

個人でいくときもあれば、

団体で旅館のメンバーばかりでいくときもあります。

高単価旅館もよくいきますが、お籠りの宿以外、料理説明は普通あります。

料理も、どこもその宿らしい工夫や季節感、見た目の美しやこれは珍しい!

と思うような出し方をしています。



この宿は器も普通、盛り付けも普通以下。

たとえばエビ真丈だとしたら、それだけが小さい椀に入っているのではなく、

せめて少しくらい付け合せが入っているもの。

   もしくは、なにかソースが載っているとか形が変わっているとか。

   食べ方が変わっているとか。

   3種のつけだれが付いてくるとか。何かあってもいい。


デザートも量だけ多く、とても食べられません。

量は少なくても、「ほう!」と思わせるようなオリジナルなデザートが

あっていいと思いました。



野菜が少なく、盛り付けもお味も、決してまずくはないですが、

特に特徴も季節感もなく、驚きや感動もない、

単純に量が多くてどこにでもあるお献立。

旅館料理として、すぐに思い浮かぶようなものばかり。

盛り付けも特別美しくない。

部屋だしだから仕方がないですが、温度がやはり厳しい。

熱いものは少しぬるい。器も特に驚くようなものでもなし。

アルコール類も、あまり飲めない人に軽めのアルコール度数のものが、

当たり前の梅酒くらいしかない。



乳児料金があったのですが、驚きの10,500円。おかゆは1,000円。

そう書いてあるのに、お風呂に特に乳児用のものはなにも置いてありません。



接客は大概の方は皆さんにこやかであったかい感じはします。

お布団は、とてもよいお布団でした。しかし、それだけです。

料金がとっても高いのです。

近くて良い温泉、露天がある、部屋だしだ、というだけで

高くても人は来るのですね。


高級旅館を歌うのであれば、もう少し料理内容は工夫が必要では?

でも普通の料理が好きな方には、問題ないのでしょうね。

最後に送ってくれた女性は、笑顔もなく「至りませんでした」といって

頭を下げました。特にクレームにしてないのに。

それが当たり前のご挨拶なのですね。



そこに比べたら、紋屋の料理は安くておいしいと思いますし、

何もかも良心的です。圧倒的に負けるのはやはり温泉と建物の老朽化。

そして立地。努力の度合いは、どんなに大目に見ても紋屋に軍配。

でも、勝てません。


満足感というものは、人によって好みがあります。

実際、私もたまたま宿に嫁いだからこんなことを思うようになっただけかも

しれません。普通の人だったら、部屋が広くて、大きい露天風呂があれば、

それだけでいいのかもしれません。

しかし、お値段に相当しているのかはかなり疑問が残りました。



最近は、若い方々の旅行離れという現象もあるそうですが、

GW以降にお客様が少ないです。

先日いったその温泉地は、駅に大勢の観光客がいました。

確かに立地はすごく利用しやすいです。

近いだけで人は来るものなのでしょうか?



紋屋は、普通の料金帯の宿です。

だからもてなしもふつうでいいと、投げ出してはいません。

献立も、毎回試食会をして、

何度も宿題を出してやり直しして作り出しています。

その他の係たちにも食べさせています。


よく、いろいろな宿にいくというお客さまは大勢いらっしゃいますが、

本当によくご存じの方こそ、あまりそのようなことを多く語りません。

いただいている単価をよく承知して評価してくださいます。

「この客単価の宿の中では一番」とおっしゃっていただく時が

一番の幸せであります。



アワビも5月から解禁。お値段も手ごろ。

人間が作った観光施設は確かに多くはありません。

でも、自然はいっぱいです。天気の良い日は、海もきれい。

星空も海面に映る月も素敵。海辺で貝を拾って遊ぶのもよし。


ぜひ南房総もお忘れなく。お待ちしております。



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≪次回予定≫
次号は、2013年7月7日に届けする予定です
                 
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e-mailエッセー「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」・隔週日曜発行
 著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
   発 行 者:高尾憲資  aruji@monya.co.jp
   発 行 所:季粋の宿 紋 屋  otazune@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆

うちには母がいるので、孫からするとバアバが二人。

     母が老婆とすると、家内は若婆(じゃくば)か。

と言ったら、家内は「私は“わかば”にしよう!」と大乗り気。

まぁ、おばあちゃん初心者だから“わかば”マークもありかも(^-^)

     ちなみに私は、若爺で“じゃくじー”

お風呂みたいだ(爆)

                             (by aruji)