季粋の宿 紋屋
 
季粋の宿 紋屋

女将のこだわり・心遣いが感じられる、モダンな和風宿。

2012年7月2日 宿屋の女将のメルマガ 第313号

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     ■        「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」
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  ■   ■      開始。経営の悩み、お客様への思い、社員や家族
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  ■ ■■■■■    http://www.monya.co.jp 2012.7.2発行 第313号
                           
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◆ 久しぶりの研修 ◆


リーマンショックのあとに、震災があり、
なかなか良くならない景気の足を引っ張っています。

本当に少しづつしか進まないながらも、時代は変っていきます。

団体客が大勢押し寄せた時代から、
バブルの崩壊などもあって、急に個人客の時代になり、
大きな投資はしづらい時代がずっと続いてきたのです。


紋屋も立ち止まるわけにはいかないと、研修に行って参りました。


さすがは有名な温泉地。

私共の南房総とは大きく違い、宿の軒数も多いですし客数も桁違い。

その日も、駅には大勢の観光客の姿がありました。


今回は、紹介者を通して身分を明かしての宿泊です。


   広大な土地に広々とした建物。

   渓流沿いにあって、山の眺めも青い緑。

   目に飛び込んでくる感じが素晴らしいものでした。


全てのお部屋が広い間取りになっていて、

先代がお建てになった頃と大きく変らないとすると、

先代社長さまは、かなり目の肥えた方なのだと思います。


宿でのお迎えから最後まで、接客は非常に気持ちのいいものでした。

   エース級の係の方が付いてくださったようです。
   身のこなしや言葉運びもさすがと思いました。

   豊富な温泉、部屋のお風呂も温泉です。

   渓流を眺められる露天風呂。

部屋はすべて、2部屋か3部屋続きでゆったりしています。

私は個人的に、まだ水周りもリニュアルされていない、
古めの木造のお部屋が趣があって好きでした。


   お料理は、高品質のお肉を売りにしていて、

   ここの料理はこれだ!というべきものがあり、

   主張ははっきりしていました。


朝夕お部屋食というのも、
お部屋食が大好きな方々にとっては、何より贅沢なのかもしれません。

大浴場は過不足なく、設備的には充分な施設だと思います。


今の社長様は建築関係の勉強をなさって、
本来は宿ではなく、そちらの方面に進む予定だったそうです。

景観が悪い部屋は、広くてデザイン性のあるテラスを作り、
その欠点をリカバリー。

また、雨漏りしてかび臭い部屋は、
水があればあるほど壁が固くなるという素材を壁に用いる事で、
高価格の部屋にしたそうです。

   欠点を修復して、一番売上が上がる部屋にする。

その考えは、非常に前向きですし、
さすがは、建築関係を目指した方の考えと敬服しました。


以前大浴場だった場所を、いまは斬新な工房に変身させつつあり、
非常に興味深かったです。滞在性もぐっと上がると思います。


最後に社長様自ら町内を案内しつつ、駅までお送りくださいました。


宿は、もうよそへ売りに出そうとしていたところ、
ぎりぎりであとを継がれたのだそうです。

   悩みながらこの道に進まれた。

   よそへ修行に出かけたこともないそうです。

   まだひとり身で、心も安らがないだろうと思えました。

   同業なだけに、一言、一言私達の心にも沁みてきました。


その誠実なお人柄にも好感が持てました。

よそのおうちながら「ガンバレー!」とエールを送りたくなりました。



しかし、結果的には、私達が目指すものとは大きく違い、

特に料理面では非常に落胆せざるを得ない内容ではありました。

目玉商品以外は出来合いの品物が多く、
一昔前の旅館料理の印象を強く受けました。

恐らく、普段試食会などをなさっていらっしゃらないのではないかと。

紋屋のあるじは、

   「これ、昔うちでよく出していたな。これも昔よく使っていた」を

   連発していました。

私が嫁に来る前の団体客が主流だったころに、
よく使っていた既製品があったそうです。


建築物としては、昔は豪華絢爛だったと思いますが、
おもてなしの心を表しているものが少ないように感じました。

例えば、せっかく床の間に綺麗にお花がいけてあるのに、
洋室のお花はいけてあるのではなく、単純に入れただけ。

しかも花器は、洋室なのにとっくりでした。

お金を掛けなくても、
気遣いをお客様に感じさせる趣向はいくらでも凝らす事ができる。

そこまでは、まだまだ心が届かない。

だからこの業界の人間にとっては、
至らない部分が多く目にとまってしまいました。


私たちでも、もちろん至らない部分はイヤって言うほどあるわけで、

批判ほど簡単な事はないことも、充分承知しています。


   これから良きパートナーを得られ、

   二人三脚で宿つくりをするようになれば、

   きっと目ざましく発展すると思います。



そんな中でも、私達が思いもよらない部分に、

はたと気が付くことが数点ありました。

   テレビが地デジ化して、もうしばらくたつのに、
   私達はまだテレビ番組表を一生懸命新聞からコピーして、
   お客様にお配りしていました。

何と無駄な作業でしょう!


   お土産を持参しましたが、
   お部屋係以外に裏方さんからも、お礼の言葉がありました。

早速真似しましょう。


   部屋食なので、朝食時には布団上げがありますが、
   それを手作りの木の板に、布団を上げてくださいのメッセージが。

私達も、せっかく作ったのに、
全然活用さていないメッセージカードの活用を思い起こしました。


   座卓が古びたところは、そのままよりもクロスを敷いたほうが綺麗。

   お部屋の鍵の掛け方が、私共の貸切風呂に応用できそうでした。

   先ほども出た、水分を含むと固くなる壁材も今後利用できそうです。


いつも、
私達より何ランクも上のお宿さんばかりに勉強に行っていましたが、
たまには同じように苦労しているお宿にも行くのも、
違った発想が生まれるなと感じました。



同じように古くても、紋屋には露天もないし、広大な敷地もない。

豊富な温泉もない。やっと温泉、くらいです。

お部屋もほとんど1部屋のタイプ。

それだけ見ても、かなり負けています。


施設や温泉で負けている私たちは、
いろいろ細かなおもてなしを築きあげてきましたが、
もっともっと頑張らなくてはいけないのだと強く思いました。


   紋屋に来る事が目的になるような、

   施設が古くても圧倒的な印象を残せるように、

   これからも考え続けてまいります。


果てのない宿つくりです。やさしくお見守りくださいね。



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≪次回予定≫
次号は、2012年7月15日に届けする予定です
                 
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e-mailエッセー「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」・隔週日曜発行
 著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
   発 行 者:高尾憲資  aruji@monya.co.jp
   発 行 所:季粋の宿 紋 屋  otazune@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆

日本最大規模の書道展・毎日書道展に、今年も家内の作品が入選しました。

今年で8年連続! あと二回で会友(無審査)となります♪〜

ちなみに、家内の作品展示は、7/16〜23に東京都美術館です。

                             (by aruji)