季粋の宿 紋屋
 
季粋の宿 紋屋

女将のこだわり・心遣いが感じられる、モダンな和風宿。

2011年11月6日 宿屋の女将のメルマガ 第299号

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     ■        「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」
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■  ■ ■■■■ ■   1999年 日本初・旅館の女将によるメルマガ配信
  ■   ■      開始。経営の悩み、お客様への思い、社員や家族
 ■  ■■■■■    とのかかわり等など。
■ ■ ■   ■    きもちはいつまでも新米であり続けたいと願う、
  ■ ■■■■■    宿の女将のメルマガです。
  ■ ■   ■    
  ■ ■■■■■   http://www.monya.co.jp 2011.11.6発行 第299号
                           
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◆ 輸送業に思うこと ◆


以前に何かのアンケートで、鉄道会社のサービスについて、
満足か不満足かという問いがあったことがあります。


鉄道会社の第一は、何といっても安全にお客様を目的地に運ぶこと。

私共のようなサービス業とは違うと思います。


しかし、そうは言っても特急列車とか指定席があるとか、
距離が長い時などは、やはりただ単純に安全に輸送すれば
それだけで良いというものではありません。

サービス業に携わっているせいか、サービス業的部分の徹底が、
あまりなされていないことがいつも気になります。



先日タクシーに乗った時のことです。

行き先を言うと、その運転手さんがおもむろに


   「かしこまりました」というのです。


私は感動しました。


タクシーは、行き先を言っても無言の人も多いです。

「かしこまりました」という返答は、
とても気持ちが良いものでした。

なので


   「タクシーでかしこまりましたと言う御返答は初めてです。

    とても気持ちが良いですね。」と話しかけました。


すると運転手さんは、


   「うちの会社では、そう言うことになっています。

    確かにそう言っていると、トラブルは少ないですね。」


タクシーは、鉄道とはやや違う面もあり、同等ではないかもしれませんが、

やはり常に感じの良さや丁寧さは人のこころを温かくすると感じました。



時々遭遇する高速バスの運転手さんで、

●井○太郎と言う方がいらっしゃいます。


その方は、出発する前に必ず乗客のほうを向き、

帽子を取り立って名前を名乗り、挨拶をして深々と頭を下げます。


たいしたものだと、いつも心の中で拍手します



それに比べると、いつも(どうなのだろう)と疑問に思うこと。


それは、高速バスでの対応のばらつきです。


高速バスでは、事前に乗車券を買って乗車することになっています。

ところが毎回必ず、
「券を買ってないんだけど」というお客様があります。

上り便の場合は、途中駅からでも券なしも受け付けていますが、
そういう人が多いと、乗車券の発券に手間がかかり、
乗っている人たちが待たされる結果になります。

本来は、なるべくなら乗車券は買っておくべきでしょう。


でも、何年か前に私の館山駅到着がぎりぎりになり、
上り便の券なしの状態で乗ろうとした事がありました。

すると、その時の運転手はもう出発時間であるにも関わらず、


   「では、券を買って来てください」と言いました。


   「私は足が悪いので、走ったり急いだり出来ません。
    時間がかかりますが、それでも良いですか?」


と確かめたうえで、30メートル先の券売り場に行かされました。

発券所でも、私が「9時半のバス、東京まで一人」というと、
出発時間直前だったので、驚いたようなリアクションでした。


   「運転手さんに買ってくるように言われましたので。」


その窓口方は、凍り付いていました。



こんなことは、ほとんどいやがらせです。


ギリギリに着いた私も悪いですが、
非常に大きな屈辱を覚えたのは確かです。

それを覚えこませて、
二度と券を買わずに来るなと運転手は言いたかったのでしょう。


でも途中乗車の場合は、

予約券が無くとも空いていれば乗車できるのです。



運転転手によって、券が無くて受け人もいる。

運転手によって異なる対応はいただけません。それはおかしいです。



それが事実なのに、そのようなことの問題点を会社が気づこうともしない。

今後のサービス向上を目標としているのかも分かりません。




宿屋でも、一定のレベルを全員が越えられるように、常に教育は必要です。

輸送業では、恐らくたまにしかアンケートは行われないでしょう。
まして、一回一回の乗車についての調査などありえません。

それで良いのでしょうか?


私の主人は、

   「輸送業の一番の問題は、乗客を輸送人員だと思っていること」

と言っています。

乗客とは客であって、輸送人員ではないのでは?


新幹線が出来た。新幹線には、客室係的な人員もいます。
エレベーター、エスカレーターの設置。トイレの改善。

ハード面は大分、改革が進んでいるのに、ソフト面が...



現在では、JRは自動改札になっていますが、
昔は人が改札に立っていました。

キセルを防止するためです。

でも、結構よそ見をしていたり、
他の人に話しかけていて見ていないことがあります。


私はその時、最後の数駅分の定期券を持っていたので、
定期券がある駅までの切符を買い、
定期券と切符と両方を見せて通り過ぎました。


でも、その時の改札員は、他の人に話しかけていました。


その人が私の切符と定期券を見るのを待っていたら、
後ろの人が詰まってしまいます。

だから外へ出たのに、「おい、立川の人」と私を見て怒鳴ります。


   「両方を見せましたよ。あなたが見てなかっただけです。」


というと、不機嫌そうに


   「あーそうですか。」


その言葉が、「あーそうかい」というようなひどい言い方でした。

そのときは、もうすでにJRになっていたのに。



   人を人だと思っていない。

   「乗っていただいている」と感じていない。

   輸送しているのは、物ではない。人なのです。



人には心がある。感情があります。

今後は、輸送人員ではなくお客様と思えるかどうかで、

輸送業のこれからが変わるかもしれません。

輸送サービス業として、新たに発足して欲しい。




1,2年前、輸送業に勤めている方から名刺をいただきました。

紋屋にいらしたお客様です。


   「業種は違いますが、とても勉強になります。」


とおっしゃっていただきました。


私のメルマガで勉強しているそうです。

そういう方もいらっしゃるのですね。もっと増えるといいと思います。



毎回、高速バスで「券買ってないんだけど」というお客様が来るたびに、
私は自分が受けた屈辱を思い出し、
何年たっても忘れることが出来ずにいます。


   特別良かったこと悪かったことは、

   いつまでも心に残るのです。



サービスの質が、輸送業ではあまり望めないとしても、

一人一人の人間としての温かさとか誠意、

最低限の人間らしさは、あって欲しい。



サービス業でなくても、やはりその人の人格というものがあります。


私は、誠実な人間性を重んじたいと思っています。


   これからもずっと、私自身がそうであれるよう念じ、

   そして、気持ちの通じる良いお客様との出逢いを

   大事にしたいと思います。



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≪次回予定≫

次号は、2011年11月20日にお届けする予定です
                 
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e-mailエッセー「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」(隔週日曜発行)
 著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
   発 行 者:高尾憲資  aruji@monya.co.jp
   発 行 所:季粋の宿 紋 屋  otazune@monya.co.jp
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◆素顔の女将◆

先日、社内で消防訓練を行った。

当日の運営書面に、家内の字で「消化器の確認」と書いてあった。

胃カメラか、大腸ファイバーを訓練で行うつもりだったのかな(笑)

                            (by aruji)