季粋の宿 紋屋
 
季粋の宿 紋屋

女将のこだわり・心遣いが感じられる、モダンな和風宿。

2011年10月23日 宿屋の女将のメルマガ 第298号

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     ■        「きもちはいつまでも新米・女将のひとり言」
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■  ■ ■■■■ ■   1999年 日本初・旅館の女将によるメルマガ配信
  ■   ■      開始。経営の悩み、お客様への思い、社員や家族
 ■  ■■■■■    とのかかわり等など。
■ ■ ■   ■    きもちはいつまでも新米であり続けたいと願う、
  ■ ■■■■■    宿の女将のメルマガです。
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  ■ ■■■■■   http://www.monya.co.jp 2011.10.23発行 第298号
                           
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◆ お客様目線 ◆


前回は、お迎えする視点で書きましたので、
今回は、他へ宿泊したときの事を書きます。


以前にも書いたことがあるホテルです。


チェックイン時には、

   「ベッドがふたつ、くっついているタイプと、

    離れているタイプとありますが、どちらが良いですか?」

とわざわざきいてくれたので、
くっついているタイプを指定しました。

でも案内された部屋は、ベッドが離れている部屋。

「まあ、どっちでもいいけど...」と思っていたら、
フロントからお詫びの電話が、移動も面倒なのでそのままにしました。



この日は、到着してからすぐに外へ出掛けるので、、
出掛ける前にトイレを済ませると、シャワートイレが使えないのです。

念のため主人にも済ませてもらったのですが、やっぱり駄目でした。

フロントに電話をして、

「これから出掛けるから、みておいてくださいね」とお願いしました。

帰ってきて聞いてみると、

「特に問題はなく、トイレの腰掛け方が浅いと始動しないのです。
 深く越しかけてください」とのことでした。

「なーんだ、そうだったのか。」と安心して部屋に戻り、
また用を足すと、同じ症状。深く越しかけても駄目です。

念のため二人とも試してみて、やっぱり駄目。


フロントに電話をすると、先ほどの説明を繰り返そうとするのです。

それで、

   「深く腰掛けてもだめでしたよ。本当に見に来て頂いていますか?」

と詰問すると、一呼吸言葉に詰まった感があり、
「すぐ伺います」という返答がありました、

少しして、黒い制服を着た男性と施設関係者が連れ立ってやってきました。

黒い制服を着た人は、
「昼間来たときは大丈夫だったのですが」といいますが、
施設担当者の様子を見ていると、どうにもそのように見えませんでした。

結局「直りますが時間がかかるので、部屋移動しますので」ということに。


恐らく最初から見に来なかっただろうと思います。嘘は良くありません。


そして、部屋は隣でした。


「こちらです」とどんどん先に誘導しようとします。思わず

   「荷物は持ってください」と言いました。

すると慌てて、
「お荷物はこちらとそちらの2点ですか?」と聞いてきました。


「申し訳ございません、気がつきませんで。」くらい普通言うものです。

同じようなことが、以前、紋屋の従業員もしたことがあるのを思い出し、
「これはお粗末だ!」と心の中で歎きました。

きっと、このときの人も、早く他の部屋に案内しなければ、
という気持ちが先に立ったのでしょう。


     この時点で3回の汚点。

     続くものなのです。



紋屋でも何かトラブルが起きるのは、
必ずひとつの同じお客様の部屋で発生します。

続くとお客様はこう言う気持ちになるのだなぁと
ため息をつきました。


そして、夕食。

夕食についても長々と書きたいことはありますが、今回はやめておきます。


前回もサービスは駄目だったので、行かなければいいのですが、
施設が高級なのと、今回は格安だったので利用しました。



     ただし、格安だからサービスが悪い。

     それは違うように思います。



     一番の問題は、

     従業員の「心」がお客様に向いていないことです。


隣の部屋に案内した方も、
「荷物を持ってくれ」とお客様に言われた段階で、本来なら、
かなり申し訳無く思うはずですし、冷や汗を掻くはずですが、
響いている様子はありませんでした。


宿泊者の気持ち、動きがその都度良く理解でき、

紋屋でのさまざまな事件を思い、とても勉強になりました。





その次に宿泊したホテルは、新しく建て直したばかりのホテルで、
特別、人的サービスと言うものはありません。

立ったままでのチェックインのあと、
鍵を渡されて勝手に部屋へ行きます。

新しいこともありますが、
全体的に非常にいろいろ気配りがされていると感じるように、
工夫が施されているホテルでした。


ライティングが和風で落ち着きがあり、

置いてある備品などに非常に気を使っているのが分かります。


   例えば、部屋においてある急須が鉄瓶にしてある。

   ベッドサイドに本を読むためのしゃれたランプがある。

   角度が替えられますし、必要以上の範囲を明るくしすぎません。

   顔を洗うタオル以外の体を洗う用のタオルがある。

   ボディソープのデザインが素敵です。

   テレビでもネットが繋がる。

   そのほかに他の階にパソコンができる部屋があり、

   トレーニングルームやマッサージチェアが設置された休憩室もある。

   部屋に新聞は入らないが、ビジネスホテルの高級版のような感じ。


従業員たちの挨拶もにこやかでした。


   朝食のバイイング時、食べ終わった皿を下げに来た女性が、

   まだ食べていないヨーグルトを食べる為のスプーンが、

   その下げようとしている皿に載っているのに気付き、

   皿から出して手渡してくれました。


ぼんやりしているスタッフなら、
見逃してさげてしまう可能性があります。


前述のホテルは施設は高級ですが、サービスは良くない。

それならもっと徹底的にサービスを排除するのもひとつ。

施設的に難しいのなら、もっと「心」ある接遇に努める姿勢が欲しい。

そう思いました。



でも、前述のホテルでは、普段怒られる側なので、
クレームにはしませんでした。

仮に教えてあげても、
きっと反映されないだろうなと言う気持ちがしました。


     一番大事なのは、

     失敗があってもそれを反省したり、

     今後に生かしたりできること。


宿泊業という仕事は、本当になかなか気持ちが休まらない仕事であり、
決して楽ではありません。

一生懸命やればやるほど、疲れる仕事でもあります。

こちらは悪くないのに怒られたり、
とんでもないいいがかりをつけられたり。

その結果として、お客様に心が向かなくなる。

そういうことはあるかもしれません。




本日、あるお客様からの電話がありました。


お客様のほうでも思い違いがありましたが、
こちらにも非がありました。


     間違いがこちらにもある場合は、

     くどくどご説明するのではなく、

     お客様のお申し越しを反復し、共感して差し上げること。


これが大事だと思いました。

要するに、夫婦喧嘩と同じなのです。


     発生した出来事もさることながら、

     やはりどれくらい人の気持ちになれるかが鍵。


今回のお客様は、そのようにしてみた結果として、

一応ほかの日にちを検討してくださることになりました。


最初はとても不服そうで、

その気持ちをこちらに伝えようとなさっていました。

私がお客さまのお申し越し、その背景に共感したためか、

お持ちになっていた不満が少し軽くなったご様子でした。



     一つ一つの出来事に、心の底から懸命に対処すると、

     正直非常に辛いですし、苦しいです。



とんでもない勘違いや、思い込みが激しく攻撃的であるお客様には、
うまく向き合えませんが、根は正直でありつづけたい。


楽ではないが、お喜び頂けるときは、とても幸せです。


     旅館は、人の心の触れ合いを感じられる場所。

     これからも、温かいふれあいをたくさん作っていきたい。

     そうしたお客様をお待ちしています。


少なくとも、紋屋はお客様を一生懸命お迎えしております。

それが伝わるように、努力します。


まだまだ自分は努力が足りないなと痛感した、2箇所での宿泊でした。



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≪次回予定≫

次号は、2011年11月6日にお届けする予定です
                 
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e-mailエッセー「続・新米女将のひとり言/明日へのあゆみ」(隔週日曜発行)
 著  者:高尾葉子  okami@monya.co.jp
   発 行 者:高尾憲資  aruji@monya.co.jp
   発 行 所:季粋の宿 紋 屋  otazune@monya.co.jp
  295-0102 千葉県南房総市白浜町白浜232
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◆素顔の女将◆

   フェイスブックの宿泊業グループでの投稿を見ると、

   結構、宿の女将さんの“悲鳴”が見て取れる。


        怒鳴りつけられて、自宅で泣き腫らしたとか

        ショックで夕食ものどを通らなかったとか


   家内も書いていたが、どうして宿屋だと「女将を呼べ!」と、

   偉ぶりたいお客様が多いのだろう.....。

                            (by aruji)