家族でぶらり南房総八景
南房総にはおだやかな時間が流れています。が、人によっては平凡でつまらないと感じるかもしれません。けれどもよく見てみると、都会では味わえないものがいっぱい。家族みんなで豊かな時間が過ごせる、南房総自慢の景色を八つ集めてみました。
2古式ゆかしい千倉・高家神社の庖丁式 - 歴史が息づく神社仏閣の数々
3物語の舞台を求めて - 「南総里見八犬伝」のふるさと
4南の果てを見渡す海 - 白浜の海岸線
5見どころたっぷり散策路 - 和田・花嫁街道
6南房総の新鮮とれたて魚介を - 岩井・小浦漁港の水揚げ
7手間ひまかけて育まれる珠玉の果実 - 富浦の枇杷山
8江戸時代から伝わる庶民の味、和田浦の鯨料理
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咲き誇る花景色と、
とれたてを味わえるいちご狩り
南房総の大地の目覚めは、年が明けたらすぐ。
外房に面した国道410号沿いを行けば、七浦の花畑と呼ばれる一帯があります。ドライブ途中に次々と現れる花畑の色彩を楽しむのもいいけれど、車を降りてゆっくり散策してみるのも楽しいもの。花畑では花作り名人が、それぞれ自慢の花を咲かせているので、おすそ分け気分で花摘み体験をすることができます。自分で摘んだ花を飾ると、花畑の記憶もいっそう輝きを増すことでしょう。
千倉、白浜地区に限らず、南房総にはたくさんの花畑が広がっています。道の駅では、足湯に浸かりながらゆったりと花を愛でることができたり、フラワーアレンジが鑑賞できたりと、それぞれ工夫を凝らしているので、ぜひ立ち寄ってみてください。花を愛する南房総の人々の心が伝わってきます。
そして、ひと足早い春といえばいちご。南房総にはたくさんのいちご園があって、1月からいちご狩りが楽しめます。
春まっさかりといった様子のビニールハウスに一歩足を踏み入れると、漂う甘い香り。粒ぞろいの鮮やかな赤。目移りするほどのいちごが実っています。
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古式ゆかしい千倉・高家神社の庖丁式
歴史が息づく神社仏閣の数々
日本で唯一、料理の神様が祀られているのが千倉にある高家神社。烏帽子と直垂を身に着け、鯛や鯉など直接手で触れることなく、包丁と箸だけでさばかれ奉納されるのが「庖丁式」。これは平安時代の宮中行事のひとつで、当時の貴族社会の様子と、日本料理の伝統を垣間見ることができます。南房総には他にも、由緒ある古刹、小松寺や石堂寺、日蓮上人の伝説が残る日運寺、吉凶占いが有名な増間日枝神社など、歴史と伝統を感じさせてくれる神社仏閣がたくさんあります。
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物語の舞台を求めて
「南総里見八犬伝」のふるさと
南房総は江戸時代の文豪・曲亭馬琴が書いた『南総里見八犬伝』の舞台となった土地です。富山は物語のはじまりでもあり、八犬士の一人・親兵衛が育った土地とされています。里見氏の城であった滝田城址に、伏姫が籠もったという伏姫の籠穴や八房が葬られたという犬塚、またこの地を治めた実在の戦国大名・里見氏の歴戦の跡など、虚実取り混ぜた史跡がたくさん。「八犬伝」をテーマにしたハイキングコースで散策を楽しむこともできます。
ちょっと足をのばして…
館山市の城山公園内にある館山城は、里見氏の城のひとつ。隣接する市立博物館では里見一族に関する資料、八犬伝博物館では「八犬伝」の錦絵などが展示されています。
館山城跡(城山公園内) JR館山駅よりバス(約10分)「城山公園前」下車徒歩約5分
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南の果てを見渡す海
白浜の海岸線
南房総の最南端に広がる白浜。明治2(1869)年に完成した、日本で最初の洋式灯台のひとつでもある野島埼灯台は、房総半島最南端にある灯台です。高さ29mの灯台の展望台から見る、遮るものが何もない太平洋のパノラマは息を飲むほどの美しさ。周辺の海岸線は、岩場や砂浜とバリエーションに富み、見ていて飽きることがありません。灯台周辺は公園となっているので、整備された遊歩道をゆっくりと散策するのもオススメです。
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見どころたっぷり散策路 和田・花嫁街道
昔、花嫁行列が通ったことから名付けられた「花嫁街道」は見どころ満載。ハイキングを楽しむのにうってつけの場所です。新日本百名山のひとつである標高265mの烏場山の見晴台からは、天気が良ければ伊豆大島や富士山までも見渡せるほど。長者川の中流にある落差15mの黒滝から流れ落ちる水は白糸のようで優美そのもの。和田浦駅からはじまるハイキングコースは約14キロで所要時間は3〜4時間程度。初心者でも歩きやすい道なので、ぜひ豊かな自然を体感してみてください。
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南房総の新鮮とれたて魚介を岩井・小浦漁港の水揚げ
東京湾に面し、波が比較的おだやかな岩井沖は魚介類の宝庫。早朝、漁船からの水揚げ風景を眺めているだけで心が沸き立ってくるのが不思議です。見学のあとは海の幸に舌鼓を。漁獲量が少なく地元でしか食べられないような地魚、鮮度が違うと味もまったく違う食べ慣れた魚介類など、ぜひ比べてみてください。4月〜11月まで岩井地区では地引き網などの体験もできます。もちろん船に乗っての海釣りも楽しめますから、漁師気分を味わってみるのも楽しいでしょう。
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手間ひまかけて育まれる珠玉の果実
富浦の枇杷山
日当たりよく、冷気の害を受けにくくするために、山の急斜面にずらりと植えられたびわ。富浦地区ではすっかりおなじみの光景ですが、実際に山に分け入ると、思っていた以上に傾斜は激しく作業は困難を極めます。繊細なびわ栽培のためには、この傾斜は必要不可欠。ですからびわの実は作り手の努力の結晶なのです。5月中旬〜6月下旬にかけて旬をむかえる「房州びわ」。びわ狩り体験などで作り手の心を感じてみては。産地ならではのびわスイーツも豊富にそろっています。
ちょっと足をのばして…
鴨川市釜沼地区の千枚田は大小さまざまな田が山の斜面にずらりと連なり、その景観は日本の里山風景そのもの。県の名勝にも指定されています。
鴨川大山千枚田 JR安房鴨川駅よりバス(約30分)「釜沼」下車徒歩約15分 TEL.04-7099-9050(棚田倶楽部内「大山千枚田保存会」)
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江戸時代から伝わる
庶民の味、和田浦の鯨料理
日本で5港のみ、関東では唯一という沿岸小型捕鯨基地が和田漁港。年間26頭のツチクジラが水揚げされ、捕獲された場合は漁港で鯨の解体を見ることもできます。味付けした鯨肉を干したものが房総名物「くじらのタレ」。野趣あふれる味わいが魅力です。また、和田浦には鯨料理の店が多く立ち並び、それぞれ自慢のお料理を競い合っています。刺身や竜田揚げ、ステーキなど、お気に入りの料理を見つけてみてはいかがでしょうか。
JR和田浦駅より徒歩約15分
TEL.0470-47-3474(和田観光案内所)
鯨漁期/6月末〜8月末(26頭捕れ次第終了)
Link 南房総いいとこどり -「美味八献」鯨料理